平成13年度推薦事例

山下芳明(やました・よしあき)
 鳥取県東伯郡大栄町



丸 経営・活動の内容
1)労働力の構成
(平成13年7月現在)
区 分
続 柄
年 齢
農業従事日数
うち畜産部門
備  考
家 族


本 人
51
353
353
 
51
353
353
 
長 男
27
353
353
 
常 雇
なし
 
臨時雇
のべ人日
41
41
主な作業内容
酪農ヘルパー、乾草収穫
労働力
3人
1,100日
1,100日
 

2)収入等の状況
(平成12年1月〜12月)
区 分
種 類
品目名
作付面積
飼養規模
販売量
農業収入
水 稲
35a
 
 
酪 農
47頭
408,000kg
農外収入
     
合  計
   
408,000kg

3)土地所有と利用状況
(単位:a)
区 分
実 面 積
うち借地
畜産利用地
面  積





 
385
 
330
360
275
360
樹園地
     
745
275
690



牧草地
   
 
野草地
 
 
 
 
 
 
畜舎・運動場
10
 
10


山 林
 
 
 
原 野
 
 
 
 
 
 
共同利用地
1,100
1,100
1,100

4)経営の推移
年 次
作目構成
頭 数
経営および活動の推移
昭和35年
 
 
43年
 
 
 
45年
 
 
53年
 
 
62年
 
平成3年
 
6年
 
8年
 
13年
 
 
 
 
 
 
 
 
 
酪 農
畑作物
 
酪 農
肥 育
スイカ
 
酪 農
肥 育
 
酪 農
 
 
酪 農
 
酪 農
 
酪 農
 
酪 農
 
酪 農
 
 
 
 
 
 
 
 
 
乳 牛3頭
馬  1頭
 
乳 牛7頭
肥育牛80頭
50a
 
乳 牛15頭
肥育牛80頭
 
乳 牛25頭
 
 
乳 牛30頭
 
乳 牛45頭
 
乳 牛48頭
 
乳 牛48頭
 
乳 牛47頭
 
 
 
 
 
 
 
 
 
父親初めて乳牛導入、酪農の始まり
 
 
本人就農
 
昭和45年乳牛増頭に伴いスイカ栽培中止
 
乳牛舎第1回増築
 
 
昭和53年、乳牛増頭に伴い肥育事業廃業
乳牛舎第2回目増築、酪農専業経営となる
 
乳牛舎第3回目の増築
 
乳牛舎第4回目の増築、酪農専業経営の確立
 
長男就農
 
家族経営協定締結
 
経営分担
本人 繁殖牛管理・簿記記帳担当
  大栄町酪農組合長就任(平成10年)
哺育・育成担当、
  パソコンによる複式簿記勉強中
長男 給餌担当
  パソコンによる飼料給与診断
家族全員
  自給飼料生産
  搾乳作業

5)自給飼料の生産と利用状況
(平成12年1月〜12月)

ほ場
番号

面 積
所有
区分
飼料作物の
作付体系
10a当たり
収  量
総収量
主  な
利用形態
採草
採草
 
水田
660a
1ほ場
平均面積
50a
720a
 
  

   
個人
個人
イタリアン
ライグラス
ソルゴー
 
6t
(生草)
6.5t
(生草)
396t
468t
乾草
(ロールで収穫)
 
 
サイレージ
(傾斜を利用し
た落し込みサ
イロを利用)

6)経営の実績・技術等の概要
(1)経営実績
期 間
平成12年1月〜12月
経営実績
畜産会指標




労働力員数
(畜産)
家族(人)
雇用(人)
2.9 2.7
0.1 0.1
経産牛平均飼養頭数(頭)
飼料生産用地延べ面積(a)
年間総産乳量(kg)
年間総販売乳量(kg)
年間子牛・育成牛販売頭数(頭)
年間肥育牛販売頭数(頭)
47 45.3
1,320 884.5
408,250 381,352
408,000 379,113
39 27.3
0  





経産牛1頭当たり年間産乳量(kg)
平均分娩間隔(カ月)
受胎に要した種付け回数(回)
牛乳1kg当たり平均価格(円)
乳脂率(%)
無脂乳固形分率(%)
体細胞数(万個/ml)
細菌数(万個/ml)
8,681 8,387
13.2 13.9
2.1 2.2
95.4 97.4
3.82 3.85
8.65  
24.5  
8  


経産牛1頭当たり飼料生産延べ面積(a)
借入地依存率(%)
飼料TDN自給率(%)
乳飼比(育成・その他含む)(%)
28 19.3
95 37
35  
35.1 44.9
経産牛1頭当たり投下労働時間(時間) 140.2 146

丸 家畜排せつ物処理・利用方法と環境保全対策
1)家畜排せつ物の処理方法
 牛舎よりバーンクリーナーで搬出(敷料にはオガクズを利用)、ダンプトラックで堆肥舎に運搬する。
 堆肥舎にて、育成舎、乾乳牛舎からの搬出されるふん尿、敷料と混ぜショベルローダで切り返しを行う。


2)家畜排せつ物の利活用
内  容
割合(%)
品質等(堆肥化に要する期間等)
販  売
20
堆肥舎にてローダーで切り返し(2〜3カ月)
交  換
   
無償譲渡
   
自家利用
80
堆肥舎にてローダーで切り返し(2〜3カ月)
そ の 他
   

3)評価と課題
(1) 処理・利活用に関する評価
 農地に還元できるふん尿の量を基に経営規模を調節し、必要所得もあげている。
 処理は、堆肥舎での切り返しという簡単な方法であるが、地域の耕種農家の供給と自給飼料畑への還元で全量を利用し、良質の粗飼料生産を行っている。
 稲ワラ購入先農家への供給、農地の交換利用先への堆肥供給(作物の連作障害対策で3年ごとに牧草を作っている畑とスイカ等の作物を作っている畑を交換している)である程度量利用できるが、全量自家消費できるように借地を増やす方向である。
 堆肥を利用したいという農家に対しては、今後も供給を行う。
 堆肥処理・利用について、当経営は野積みもなく地力増加に有効利用されている。
(2) 課 題
今のところ特になし。

4)その他
 牛舎の周辺にはいろいろな花が植えてあり訪問者を出迎えてくれる。年間を通じて花が咲いているように努力されている。
 牛舎入口には、鉢植えの花が飾られている。環境が良いのか、日当たりが良いのか鉢と鉢の間が猫の居場所になっている。
 牛舎内は、出来るだけ風通しのよくなるように壁は、巻き上げカーテンに改修されている。敷地内にある樹木は、運動場・牛舎に適度に木陰をつくり猛暑対策に役立っている。

丸 地域農業や地域社会との協調・融和についての活動内容
 町内は南側が黒ぼく土壌の丘陵畑作地帯、東側が水田地帯、北側が280haの砂丘地帯、これらの農地を利用して県下有数の畑作農業が営まれている。
 この中にあって東側水田地帯、東園(ひがしその)、西園(にしその)集落は水田と砂丘畑による大規模農業が営まれ、砂丘畑への作付け労力が水田裏作利用と競合することから水稲単作地帯であったが、折しも水田裏作の生産奨励施策が打ち出されたのを契機として、酪農家と耕種農家が話し合いをおこない水田裏作に飼料作物栽培体系が(約36ha)確立した。(昭和48年)これが現在も継続している。
 また、全国第2位の実績を持つ「大栄スイカ」、毎年スイカの時期7月には「スイカ・ながいもマラソン」が全国各地から参加者を得て開催されるが、ここにもロールラッピングサイレージをスイカに見立てて色を塗って展示したり、搾乳体験コーナーを設けるなどユニークな取り組みにより地域に密着した活動を行っている。

丸 後継者確保・人材育成等と経営の継続性に関する取り組み
 組合員の相互扶助の精神によって結束は固く、このことが飼料の共同生産体制に生かされており、昭和48年以来、現在まで続きさらに今後とも継続していくものと思われる。
 後継者対策の一環として、親子合同の研修会の開催、町畜産品評会において子供が参加できるジュニアの部を設けるなど、後継者の育成確保に力を注いだ活動を展開するなどユニークな取り組みや経営成果を示すことによってグループ員の後継者は確保されている。
 また、家族経営協定の締結により後継者が安心して酪農経営に取り組める体制を確立している。

丸 今後の目指す方向と課題
 牛肉輸入以来、乳子牛・廃牛価格の価格の下落で所得は減少し、本来の搾乳による所得の増大が望まれるところである。
 しかし、基本としている自給飼料中心の経営形態を維持するには難題も多い。
 当面、60頭経営規模を志向しているが、飼料基盤の確保と良質粗飼料の増収が求められている。
 大栄町内には一区画3haの大企画水田地帯もでき水田裏作、転作田また遊休農地等の利用に過去の経験と豊富な機械、共同作業体制を踏まえ、耕種農家との連携をより密にし、お互いが補完し合う形で水田利用を推進し飼料生産基盤の確保に努めなければならない。
 また、週休2日制が定着するなかで、酪農家もゆとりある経営を目指すことは後継者対策としても実現しなければならない。



 

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